熊五郎の温泉こぼれ話
 
この物語は、金はないけど温泉大好きという筆者が、各地の日帰り温泉施設やら共同浴場などで、実際に体験したエピソードをもとに作られたものであります。
この物語は基本的にはノンフィクションであり、登場人物、設定もすべて架空のものとは限りません。(笑)

1. 温泉入るのは気合っス!!・・・・・(福島県・飯坂温泉・鯖湖湯編)
飯坂温泉。ここの温泉の歴史は結構古く、ヤマトタケルの時代までさかのぼるなどといわれています。現在では東北でも有数の歓楽温泉街となっています。

私がこの温泉を知ったのは子供の頃。マリリン・モンローのそっくりさんが出てくる飯坂温泉の某ホテルのCMを見るたび、その妖艶な姿に悩殺されていた私は、

「大人になったら絶対ここに行く。」と固く心に誓ったのでした。

さて、そんな私が実際に飯坂温泉を訪れることができたのはそれから20年以上も経ってからということになってしまいました。

しかも、金がないので某ホテルには泊まれず日帰り。(泣)

訪れたのが共同浴場の鯖湖湯。明治22年に建てられた木造の共同浴場を当時の雰囲気を残してリニューアルしてオープンした、ちょっとレトロでいい感じ。

100円払って浴場の中へ。中央に共同浴場としてはまずまずの大きさの湯舟があり、地元の人らしき客が3人ほどのんびりとお湯に浸かっていました。

いかにも温泉場という雰囲気に早速私も仲間入りと思い、かけ湯をして入ろうと思った瞬間・・・・・・

「あっつ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い。」

そうだったのです。ここの温泉はちょっと温度が高めの温泉なのです。ホテルや旅館であれば、多少埋めたりして温度を調節するのでしょうが、ここは共同浴場。

ほぼ源泉に近い温度のお湯をまともにかぶったものだからたまりません。気分はちょっと前に某テレビ局でやっていた「熱湯コマーシャル」のダチョウ倶楽部状態。

地元の皆さんに思いっきり笑われてしまいました。

客:A「にーちゃん、ここの温泉はじめてかい?」

客:B「はじめての人はお湯が熱いのを知らないで入っから、よくそうなんだ。んだがら、気にすっことねえって。」

私: 「皆さんは平気なんですか?」

客:C「だって俺らは毎日入ってっから、慣れてるんだ。」

客:B「にーちゃんもゆ〜〜〜〜っくり入ってみれば大丈夫だぁ。」

そんなわけで、再度チャレンジ。まずはゆっくりと足を入れる。やっぱり熱い。

「でも、せっかく交通費かけて、金払ってきたのに入らないで帰るなんてできねぇ!!!!!!!!!」

こういうのを何根性というのかは知りませんが、とにもかくにも無事、湯船に肩まで浸かることができました。しかし、10数えるのが限界。速攻で湯舟から脱出。体はもう真っ赤。熱湯コマーシャルのタレントさんの気持ちがはじめて少しわかりました。地元の皆さんにも「にーちゃん、よく頑張った。」

「はじめてにしては上出来だ。」という温かい言葉をいただき、ちょっとだけいい気分に浸っていたその時、その人はやってきたのです。

一見、地元の人らしき70歳代よりは上のその人は、まず「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」という声を発しながら3回ほどかけ湯をし、次に「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。」と言いながら湯船に体を沈め、その動作が完了すると、今度は、「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。」と言いながら顔や額の汗をタオルで拭いはじめました。

さらに、湯船に浸かっているときは「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。」「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。」

の繰り返し。ここまで来ると、こちらとしてもついつい次を期待してしまいます。

そして・・・・・そのときがついにやってきました。おじさんが、湯舟から上がろうとする瞬間がやってきたのです。「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。」

という雄たけび?をあげ、湯船から出ました。その後も、「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。」「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。」

と言いながら体を拭き、そのおじさんは浴場を去っていきました。

その間、一同は目がテン。そして帰ったあとは大爆笑。

「やっぱし、あのくらい気合入れて入らないとだめだね。」

「オラ、あんなの初めてだぁ。」

などと口々に感想を述べるほかのお客さん達。やはり相当のインパクトがあったようです。

でも・・・・・・あ、い、う、と来たら「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」ってのも欲しかったなぁ。まあ、そこでフェイント気味に

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。」ってのもまた良かったですけどね。

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